分水嶺の首飾り

初めての個展”LITTLEGROWTH”の時、初日の搬入を終えひと段落したタイミングに、僕宛のお花が届きました。

それは、poppyseedsの是枝錬太郎さんからの、首飾りの様なリースでした。数日前に、展示をするのです、と伝えていた僕に、秘密で送ってくれていたのです。
敬愛する作家からのお花(首飾りのリース)です。嬉しさはひとしおでしたが、もうひとつ大きな意味が自分に生まれたのを感じました。

たわいのないやりとりからの気遣いだったのだと思います。
しかし、ひと月前まで会社員だった僕にとっては、今までにない関係からの特別な贈り物だったのです。自認する代名詞を変えようと思うほどに。

あの日から僕は、自分の事を作家として名乗ろうと心に決めました。もう会社員ではない。書類上も心情的にも。
作家業が始まった日の思い出です。

僕は運が良かった。
その応援は、あらゆる不安をまとめて薙ぎ倒し、根拠のない自信を僕にくれました。

あの花があったからこそ、その日から僕は作家になったんだと思います。